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2025.06.09

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式年遷宮

こんにちは~
今回の担当は、今津です。

今年6月、いよいよ伊勢神宮の式年遷宮の行事「神宮式年遷宮」が始まりました。
私は、田舎の岐阜で神社の宮司を務める弟の誘いで、式年遷宮の行事の一つ、
「第六十三回神宮式年遷宮御樋代木奉迎送」(だい63かいじんぐうしきねんせんぐう
みひしろぎほうえいそう)に参加しましたので、一緒にご報告いたしたいと思います。
 

御神木を前に、奉迎祭での舞が披露された。
御神木を前に、奉迎祭での舞が披露された。
約1000名が、4本のタズナを引いた奉曳(ほうえい)。全員が、伊勢神宮のしるしである「太一」の法被(はっぴ)を纏う(まとう)。
約1000名が、4本のタズナを引いた奉曳(ほうえい)。全員が、伊勢神宮のしるしである「太一」の法被(はっぴ)を纏う(まとう)。
会場となった、金神社(こがねじんじゃ)に貼られた祭事案内のポスター。
会場となった、金神社(こがねじんじゃ)に貼られた祭事案内のポスター。

まず、「式年遷宮」について触れてみたいと思います。

「式年遷宮」とは、神社で定められた年に、社殿を建て直し、御神体を新しく移す、大規模な祭祀(さいし)です。伊勢神宮では、20年に一度遷宮が行われ、古くから続く伝統を継承しています。

古くから、とは何時か?天武天皇の時代に定められ、持統天皇4年(690年)に第1回が行われ、1300年以上続いています。

目的は、新しい清浄な場所で、神を祀(まつ)り、伝統技術を継承し、常にみずみずしい神宮を保つこと。

行事としては、令和15年(2033年)10月の遷宮まで、今年から目に見えた形で行われていきます。
例えば、五月に山口祭。
ご用材を伐り出すに当たり、御杣山(みそまやま)の山の口に坐す(います)神に、伐採と搬出の安全を祈ります。
ご用材は、長野県上松町の木曽谷国有林、岐阜県中津川市の裏木曽国有林から伐り出されます。

具体的な、行事日程は以下の通り。(下記のアドレス参照)

木を伐り出して、運んで、造営の安全を祈る鎮地祭(ちんちさい)。
御柱(みはしら)を建て屋船大神(やふねのおおかみ)に平安を祈る立柱祭(りっちゅうさい)。
造営に関わる遷宮諸祭の中でも、ひと際華やかなお祭りの上棟祭(じょうとうさい)。
御白石持行事(おしろいしもちぎょうじ)で新宮に御白石を奉献し、御戸祭(みとさい)では、御扉が付いて造営工事の完了を意味するお祭りです。
新宮の竣功にあたり、殿内と殿外を洗い清める洗清(あらいきよめ)。
10月には、後鎮祭(ごちんさい)にて、新宮の竣功に際し、床下に大宮処の平安を祈る鎮地祭の対になるお祭りを行い、そして、大御神が本殿から神殿へとお遷りになる、式年遷宮の中核をなすお祭り・遷御(せんぎょ)へと続きます。

https://www.isejingu.or.jp/sengu/the63rd/schedule.html

 

上賀茂神社の式年遷宮

京都では、天武天皇7年(678年)創建とされる賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)、通称「上賀茂神社}(かみがもじんじゃ)は、21年ごとに式年遷宮を行っています。
最近では、平成27年(2015年)秋、第42回目の式年遷宮を迎えました。

下鴨神社の式年遷宮

下鴨神社の創始は不明。神武天皇2年(BC658年)にご祭神の伝承がみられ、崇神天皇7年(BC90年)には造営の記録がある下鴨神社は、「賀茂御祖神社」(かもみおやじんじゃ)が正式名称で、太古からの植生を残す「糺の森」(たたすのもり)など、古代の息吹を今に伝えている神社です。

式年遷宮は、長元9年(1036年)を第1回として制度の宣旨をいただいて、制度が確立し、災害によって30年、50年ごとになったこともあったそうです。
今回の令和18年(2036年)の遷宮は、長元9年から数えて第35回目ですが、宣旨を賜って以来、ちょうど1000年目を迎える。崇神天皇7年から数えると、2126年目で通算60回目の遷宮です。


これからも、伊勢神宮は8年間、下鴨神社は10年に亘って、様々な行事が行われながら、式年遷宮への歩みは続いていくのですね。

式年遷宮では、収蔵されている宝物も一新されるそうで、20年といってもこの間に多くの職人さんがが亡くなられており、前回から、危機感を覚えた文化庁から、制作過程をビデオに残すよう指導されています。織物であれば、蚕を飼って糸を作り、染色し、織り上げていく一部始終を記録しなければならない。文化を伝承するということは大変です。

いま世界から、大谷翔平さんをはじめMLBで活躍する選手の背景にある日本の文化、精神性に関心をいただく外国人が増えています。また、そういう注目が集まっているからか、日本人も自分の中にある、日本人探しを始める人が増えた、と多くの方がおっしゃっています。
そうした皆様に、京都で本物に触れる機会を提供してまいりたいと、改めて感じる機会となりました。

当日の衣装。金神社南の公園にて。

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