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2023.11.06

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祇園町の12月

「まねき看板」が上がった南座(松竹HP より)

皆さん、こんにちは。以前祇園町で働いていた今津です。

今回は、祇園町の12月についてご案内をしようと思います。

11月26日になると、四条大橋のたもとにある南座に、「まねき(看板)」が上がります。
京都の12月の風物詩といってもいい、「當(あた)る辰歳吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎」です。
(今年は12月1日から24日まで行われます。)

「まねき(看板)」というのは、江戸時代から興行の際に、出演する役者の名前を看板にして、店先に貼り出すもので、南座では今でも、
顔見世興行の際には、2階以上に、隙間なく並べられます。主要な役者は、他の看板よりも大きく、「大看板」といわれるのも、
頷(うなず)けますね。
 

永楽屋「百(もも)色会」の昭和10年(1935年)製作の「南座顔見世」手ぬぐい(永楽屋HPより)
永楽屋「百(もも)色会」の昭和10年(1935年)製作の「南座顔見世」手ぬぐい(永楽屋HPより)
市川海老蔵襲名以来、応援を続ける永楽屋さんの、十三代目市川團十郎丈とのコラボ手ぬぐいから。見ると厄が落ちるといわれる「團十郎の睨み」の姿。「ひとつにらんでご覧に入れまする」という声がきこえてきそう。(永楽屋HPより)
市川海老蔵襲名以来、応援を続ける永楽屋さんの、十三代目市川團十郎丈とのコラボ手ぬぐいから。見ると厄が落ちるといわれる「團十郎の睨み」の姿。「ひとつにらんでご覧に入れまする」という声がきこえてきそう。(永楽屋HPより)
十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念の、コラボ手ぬぐい「市川團十郎白猿」。販売と同時に完売の勢い。(永楽屋HPより)。
十三代目市川團十郎白猿襲名披露記念の、コラボ手ぬぐい「市川團十郎白猿」。販売と同時に完売の勢い。(永楽屋HPより)。

今年は、市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露と、ご子息の八代目市川新之助丈の初舞台が興行の題目です。歌舞伎の役者の中でも、大看板の市川團十郎丈の襲名披露興行で、興行主の松竹さんも、それを迎えるタニマチの贔屓筋(ひいきすじ)の方々も、大変な盛り上がりとなっているようですね。

舞妓さんで客席の両側にある桟敷席がいっぱいになる「顔見世総見」(祇園商店街振興組合HPより)

12月の初旬になると、南座の客席の両側にある桟敷席(さじきせき)が、舞妓さんでいっぱいになります。「顔見世総見」です。
舞妓さんは、公演の前に、自分の”推し”の役者さんを、支度中の楽屋に訪ねて、この日特別な花簪(はなかんざし)の無地の看板に、
直接サインをいただき、その花簪をして、歌舞伎をご覧になります。
その嬉しそうな様子は、客席から見ると、壮観で、いかにも顔見世興行の、華やかな賑わいを、感じることができます。

かづら清老舗謹製の舞妓さんの顔見世特製花簪(かづら清老舗instagramより)
かづら清老舗謹製の舞妓さんの顔見世特製花簪(かづら清老舗instagramより)
実際に、役者さんに名前を入れていただいた貴重な花簪(かづら清老舗instagramより)
実際に、役者さんに名前を入れていただいた貴重な花簪(かづら清老舗instagramより)
「おきばりやっしゃ」と祝い舞扇をいただく舞妓さん(祇園商店街振興組合HPより)
「おきばりやっしゃ」と祝い舞扇をいただく舞妓さん(祇園商店街振興組合HPより)

12月13日には、「事始め」という、芸舞妓さんにとっては、大切な行事があります。
普段は、置屋(おきや)さんからお茶屋のお座敷に向かう芸舞妓さんですが、この日の目的地は、踊りのお師匠さんでもある井上八千代さんのご自宅です。
「事始め」自体は、江戸時代からある、この時期から煤払い(すすはらい)をして、新年を迎える準備をする習わしのこと。
しかし、祇園町では、芸舞妓さんが、一年の締めくくりとお正月の挨拶をしに、お師匠さんのところに行く日なのです。
お正月の鏡餅を持参すると、井上八千代さんからは、ひとり一人に「おきばりやっしゃ」と声をかけていただき、祝いの舞扇をいただく。
テレビでも、よく紹介されていますから、皆さんもご覧になったことがあるかもしれませんね。

真如堂の紅葉
真如堂の紅葉
今年も、東京と関西の評判の歌舞伎役者が、顔を揃える、南座の「當る辰歳吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎」。今年は、「歌舞伎十八番(おはこ)」、といわれる市川家の「お家芸」の演目から、「助六」「外郎売(ういろううり)」「景清」が入っている。これだけ、たて続けに観ると、南座を出るころには、すっかり「荒事(あらごと)」の節回しと型が、自然と体から発せられてくるかも。(松竹HPより)
今年も、東京と関西の評判の歌舞伎役者が、顔を揃える、南座の「當る辰歳吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎」。今年は、「歌舞伎十八番(おはこ)」、といわれる市川家の「お家芸」の演目から、「助六」「外郎売(ういろううり)」「景清」が入っている。これだけ、たて続けに観ると、南座を出るころには、すっかり「荒事(あらごと)」の節回しと型が、自然と体から発せられてくるかも。(松竹HPより)

12月も半ばを迎えると、それまで京都の町を染め上げていた美しい紅葉も峠を過ぎて、祇園では、「おことうさんどす」という挨拶に変わります。「お事多(おこと)うさん」というのは、その字の通り、「年末向かって、新年の準備で、やることが多いですね」、というお互いをねぎらいいたわる言葉なのです。

近年、年末年始をホテルで迎える方が多くなりました。日頃家事で忙しい奥様を、その「おことうさん」から解放してあげることで、奥様のゆっくりとして、嬉しそうな様子を見て、ご主人様もゆっくりと休暇を楽しむことができるからだそうです。

皆様も、年末年始は京都のホテルで過ごし、初詣で賑わう新春の神社仏閣に、お出かけになる、というのはいかがでしょうか。
「こいつは、春から縁起がいいわいなあ~」ってなりませんか?

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